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【ALDEN】 正攻法だけが「正解」ではないかもしれない



定点でのビフォー画像を撮り損ねましたがかなり「難あり……。」なオールデンの修理がやってきました。

お客様はユーズドで購入したそうですが、前の所有者がかなりストロングスタイルの補修を施しています。



(東尋坊の岸壁さながら)


VIB1136(一体型ラグソール)をシューグーで接着したシンプルすぎるオールソール。

ソールのトリミングはカッターで粗断ちしただけ。



(無駄に厚塗りされたボンド層。全然付いてないので簡単に剥がれました)


多少の雑さはご愛嬌のUSAメイド、であってもこれじゃ流石に……。

ということでご依頼くださいました。

とはいえ現状かなりジャンクなコンディションで、ちゃんと直そうと思えば結構予算がかかります

状態考慮の上格安で手に入れたため、コストをどこまでかけるかは判断が分かれるところ。


・本体価格を抑えられた分、修理代に予算を多く回してもよい。

・ガラクタ同然で買ったため最低限の修理にとどめて履き潰す。


どちらも一理ある選択だと思います。

ライフスタイルや思い入れによって人それぞれ大事になる焦点が変わってくるでしょう。


今回は後者。リスク承知でアウトソールのみを貼り替え履ける状態までもっていくことに決めました。


本来であれば

①リウェルト

②コルク詰め

③ミッドソールにダシ縫いをかける

④アウトソールを接着


という工程が必要になりますが今回は④のみ行います。

しかしすでにウェルトはガタガタ、ダシ縫いも全部切れています。

ではどうやってソールを固定するか。

使うのはコレ。


(タックスと呼ばれる柔らかめの鉄釘)



そう、ネイルダウンにしてしまいます。

ネイルダウンとは釘でソールをかしめこんでしまう非常に原始的なコンストラクションです。

中底が傷む、屈曲性が悪いと言った少なくないデメリットがありますがとにかく簡単に取り付けられるシンプルさは侮れません。

よくアジア雑貨屋で売ってるサンダルなんかで採用されています。 (古くは軍靴やワークブーツなど、廉価に大量生産する必要がある靴と相性がよい製法でした)



もはやダシ縫いの全く効いていないミッドソールと、中底を貫通させて固定します。




正直端っこはガンガン剥がれてくるでしょうがソールが完全に脱落するような

ことがなければOK。

シチュエーションやご要望によって最適解が変わるのも靴修理ならよくあること。

不具合も時には意識的にスルーして履いてしまうこともある意味賢明です。


そうやって完成したのがこちら。




Dr.Soleのユニットソール”TUMAZ”を採用。

ウエストにチラッとのぞく白がアクセントになっています。








ベロがバリバリに割れていたでコードバンにて新規作成もしています。





みんなそれぞれ違った事情の中で靴と付き合っています。

可能な限り選択肢の自由を与えられるようなご提案を心がけておりますので、お気軽にご要望をお伝えください。


YUMA.




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